思いつきの、走り書き

アメリカの田舎から特にアメリカらしくないことを中心に。

iPSとiPod

引き続きこの話で。

たぶん日本でもどこかで言われていると思いますが、iPS細胞の"i"が小さいのは、iPodのように広がってほしいとの山中先生の粋な願いからだそうです。

 

あ、化学賞はGタンパク受容体でしたね。

なるほどって感じです。教科書にも載ってるし。まあこの話は今はしないとして。。

 

今回の受賞において印象的だったこと。それは、山中先生が中心的な役割をした大学院生やスタッフさらには国からの支援も含めて感謝を述べていたことです。これは本当に素晴らしいなと思いました。

 

もちろん最大の功労が山中先生にあることは間違いありません。しかし、現場にいるいち研究者としてここでお伝えしたいことは、研究は一人では決して出来ないということです。

 
数学や理論物理学などに関して言えば、孤高の天才でもそれは可能なのかもしれません。しかし、僕らのようなひとつの実験にもかなりの時間を費やす分野ではそれはまず不可能です。
 
研究において、大きな構想を提示するのはもちろんボスの仕事です。しかし、その構想に従ってテーマを細分化し、プランを立て、実行可能なところまで落とし込むのはボス以外のスタッフや博士過程の学生の場合が多いです。もちろんラボによりますが、これを全部自分で事細かにやってしまうボスのグループは色んな意味であまりうまくいっているケースは少ないように思います。。。
 
一般の方が持つ印象よりもボス以外のスタッフや大学院生の貢献度は大きいのです。実際に同じボスの下でもすごい結果を出しているスタッフや学生は優秀な人がほとんどです。場合によっては、ボスのアイデアほとんどなしということもなくはないです。
 
山中先生はもちろん素晴らしい。でも、その傍らでおそらく身を粉にして研究に励んだであろうスタッフや学生たちの存在もちらっと思い浮かべてほしいのです。下っ端として(笑)
 
アップルでももちろんスティーブジョブズは中心的な人物だったし、彼なしではMacもiPodもiPhoneも生まれなかったでしょう。でも、たぶんそこに含まれているアイデア全てがジョブズから生まれたものではないはずです。
 
素晴らしい構想があっても、それを砕いて適切に実行することが出来なければポジティブな結果は決して得られない。
また、どんなに優秀なスタッフや学生がいても、構想自体が小さかったり、その方向が間違っていたら、いい結果には辿り着けません。
 
優秀なボスとスタッフと学生、大学における研究ではこれら全てが揃って素晴らしい研究が成し遂げられると僕は思います。
 
アメリカが日本より研究が強いと言われる理由。
それはその辺のバランスも大きく関わっているのかなーとぼんやり解り始めたアメリカ生活。
 
まあそれはさておき、iPSの実験を行っていた大学院生ならびにスタッフの方々にここでは改めて敬意を示したいと思います。