思いつきの、走り書き

アメリカの田舎から特にアメリカらしくないことを中心に。

コンソメもしくはデミグラスソース

やはり日本のメディアもかなり話題にしているっぽいあれ。

研究に身を置くものとして、一応触れておきましょう。

おそらくみなさんご存知、STAP (stimulus-triggered acquisition of pluripotency) 細胞。

 

これが一体なんなのかとかは、色んなところで書かれていると思うので書きません。
ただ、ひとつ個人的に気になるところはどのくらいの早さで違うグループから続報が出てくるのか。特にヒトの細胞を使って(今回のはマウス由来)。

 

さて、これがどれだけの衝撃かというと、他分野の僕でさえ、「まじかよ...」と半笑いになるレベル。

例えて言うならなんだろう。
多くの材料を使い手間暇かけてごく少量のみ出来上がる本物のコンソメスープ。それが実は市販の固形スープにちょちょって一手間加えるだけでほぼ完全に再現できちゃうよ、テヘ (・ω<)。

そんな感じ。違うか?てか、コンソメの貴重さが浸透してないか。なんならデミグラスソースでもいい。

 

仕事柄、日本のメディアに取り上げられない話題でも革新的な研究成果っていうのは日頃から目にしているわけですが、今回のも含めて手法自体は極めてシンプルなものが多い気がします。ものすごく賢く考えられたものもあるけれど、けっこう力技だなーとか、言われてみればなんだそんなことでかって感じなこともよくあります。

ただ、大きな発見をするにはこれまでとは違う発想が必要であって、そのリスクを伴う実験をそれなりの時間をかけて実行しなければいけない。

この二つには世間一般で思われているよりもずっと多くの労力が必要で、個人的にはどちらも普段の仕事にそれなりの余裕がないとなかなか出来ないことのように思います。

同業者目線からすると革新的な研究に関して、この辺がすごいなーと思うわけです。特に日本の環境で(まあ理研とかは自由で素晴らしい雰囲気なのかもしれないけど。。。)。

 

今回の論文の筆頭著者が若い女性研究者ということで、色々話題になっているようですが、iPS細胞含めてどんなに大きな仕事も実際に手を動かして証明してきたのは話題に上る教授ではなく、若手の研究者なんですけどねー。となんとなく女性の社会進出が遅れている日本のメディアっぽいなと斜めから見てしまいますが(笑)

 

ともあれ、山中効果が冷め切らないうちの今回の成果でまた基礎研究が脚光を浴びていくといいなーと思います。それと筆頭著者の方は大変だろうけど、これまで通り頑張っていただきたい。