思いつきの、走り書き

アメリカの田舎から特にアメリカらしくないことを中心に。

"再現できず" に関して個人的に思うこと

例の再現実験、ひとまず区切りをつけたようですね。

前に言及していたので、最後?も一応、何になるわけでもないけど今回のことで一介の下っ端研究者として思うことを記してみようと思います。

僕は日本でどのような報道がされているのか、全然知らないのですが、ネットを見る限りやっぱりか的な落胆と少しの同情というところなのでしょうか。

 

個人的な感想だけど、彼女に関しては研究者としては正直、ダメダメだったのでしょう。頭がいいとかそういうレベルではなく。僕はSTAP細胞はあってほしいと思っていたし、再現難しいけど本人は作れるだろうと信じていたので、この点に関しては非常に残念です。ただ今回、STAP細胞を作ることはできなかった。しかし、STAPという現象が存在するかはまだわからないということは加筆しておきます。

こう否定的なことを言いながらも、全てを意図的に捏造してあそこまでに至ったとも思えません。これは完全に個人的な印象だけど、意図的であるならずさん過ぎる。。。実際捏造だったのかどうかは決着着いてないんだろうし。

 

もしそうだとするなら今回のことは、、、

未熟な研究者が間違った結果を信じて論文にしてしまい、それを撤回した。

ただそれだけのことなのです。我々からすると正直そこまで珍しいことでもここまで騒ぎ立てることでもありません。

いや、論文撤回は頻繁にあるわけじゃないし、感心できることではないけど実際あります。Natureから論文を撤回したという話は、うちの隣のラボでもあった話です。誤ったから撤回した。もちろん大きな業績であるほど、他のグループへの影響も大きいし本来あるべきではない。ただ、論文撤回したからといって辞任に追い込まれたり(博士論文のことは別問題として)、自殺者が出るなんてことは本来あり得ません。

 

この辺は、iPS細胞からの流れ、若い女性研究者の活躍など様々なことでメディアが飛びついたために騒ぎがこれほど大きくなってしまってたことは不運というか、同情します。まあ何も問題がなければそれを利用できたという見方もあるからなんともいえないけど。メディアはメディアで利益を上げる必要があるし、閉鎖された科学界の仕組みをよく理解するのも難しいのかもしれないけど、"メディア統一の"ではなく、各々でもう少し違う見解をたくさん出してもいいのではないかと思う。

 

そして理研にはちゃんとグループリーダーとしてふさわしい人材を採りなさいよと心底思います。彼女は未熟だったのかもしれないけど、もし僕のような下っ端研究者であれば、その上司のフィルターに引っかかっただろうし、こんなことにはならなかったでしょう。

 

人選。

それがやっぱり日米経験してみて一番の違いだと思います。様々なセレクションにどれだけ時間と労力を費やすか。大変だけど、長期的に見ればやる価値はあることです。結局、研究だって人間がやるわけだから、人が大事なんですよね。

 

"Most people say that it is the intellect which makes a great scientist. They are wrong: it is charater.

優れた科学者を生み出すのは知性だという。だがそれは違う。人格だ。"

Albert Einstein

 

僕の最も好きな言葉のひとつであり、支えにもなっているものです。

と、書いてるうちに以前観た「Gone girl」が少しだけちらつきました。。。

映画としてはとてもおもしろいので、おすすめです。

話も逸れてきたし、この辺で。