思いつきの、走り書き

アメリカの田舎から特にアメリカらしくないことを中心に。

再現性やら魚の締め方やら

いつのまにやら3月が始まってしまいましたね。
しかし、まだここは氷点下は当たり前。今日は-20℃近くまで下がっています。

 

さて。

今やかなりデリケートな話題になってしまってますが、以前、取り上げたので一応言及しておこうかと。

STAP細胞についてです。

ってもう日本では関心下がってるのかもしれないし、はてなでもいくつか記事を見かけましたが(読んでないのだけれど。。)、自分の思うところを少し。

 

STAP細胞の論文の是非について、現段階での率直な印象ですが、、、

個人的は、論文の核となる内容自体は本当だと信じています(というか、本当じゃなかったら尋常じゃないレベルでまずいと思うし)。ただ、実は論文が主張するような簡易で汎用性のあるようなものではないのかもしれない。そして、著者の方々やnatureの査読、編集に関わった人たちは、論文を提出する前、発表する前にもっと厳正に確認作業をするべきだったと思います。

 

ちょっと細かく書いていくと、、、

 

世界中から再現できないという声が上がっているわけですが(STAP NEW DATA | Knoepfler Lab Stem Cell Blog)、全く同じ条件で行っているわけではありません。

なんで全く同じ条件でやらないんだ?って思うかもしれませんが、そりゃ全く同じだと世界初ではなく、同時に論文にはならないわけで。例えば、違う種類の細胞からも同じように出来ました!となって初めて論文となる価値がでるわけです。どんなに小さななんじゃそりゃっていう論文でも何かしらは世界初なのです。

ただ、理研以外の共著者グループでも成功できなかったらしいので、基本、同じ条件でもなかなか再現することが難しいというのは確かなのでしょう。サイエンスは職人芸とは違うので、もちろん誰がやっても再現が出来るべき領域なのですが、でも実験手技やコツというのは必要です。

 

僕自身の経験ではないけれど、以前所属したラボの先生が研究室ごと大学を移った際に、誰でもうまくいくはずのことが、なぜだか全然うまいくいかない状態が続いたそうです。その後何事もなかったかのように落ち着いたそうですが。
もちろん場所が変わったらできないなんてことは原理的にはあり得ないことですが、生物という複雑なものを扱う以上、不確定要素というものは常に付きまといます。不純物とかね、実はバカに出来なかったり。。。もちろん今回の場合はそこまで不確定なものではないと思うけど。

 

和の鉄人にある魚料理の秘伝レシピをもらったフランス人シェフだったが、全然同じように仕上がらない。なぜか。。。実はフランスでは漁の際、魚の締め方が全くなっていないために(これは本当らしい)、材料の魚自体の鮮度が著しく悪かったのが原因だった。。。的な。違うか?違うね。

 

まあ要は実験材料、手技を含めた全てのことの積み重ねが結果に影響するということは、ある結果を批評する上で考慮しなければいけないってことです。

 

そして、今回の論文の内容が正しいということと、STAP細胞が評判通りの可能性を秘めているということは同意ではないってことも頭に入れておかないといけません。今回のは、こんな可能性があるよってことをある条件で初めて示したものであって、その後の応用や汎用性を約束したものではないのです。そうあって欲しいとは思うけれど、仮にそうでなくても理研グループが虚偽の発表をしたことにはならないのです。もちろんそれは第三者が内容の正当性、再現性を確認した上での話ですが。

 

と、ここまでで思ったより長くなってしまったし、ちょっと疲れたから今日はこの辺で。

続きはまた近々書きます。